解体工事中に起きやすいトラブル5選|施主が事前に防げること・防げないこと

解体工事トラブル回避
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解体トラブルは「運」じゃない。確率で決まる

解体工事のトラブルは、工事中に突然起きたように見えます。
でも、現場にいると正直こうです。

契約前・着工前の業者の選び方と、契約書の詰め方で、トラブルが起きる確率は8割方決まっています。

発生そのものは運の要素もあります。

ただし──

被害を大きくするか、小さく抑えるかは、100%施主の事前行動次第です。

逆に言えば、ここを事前に整理しておくことで、トラブル発生時でもリスクを最小限に抑えられます。

この記事では、防げるトラブルと、防げないが「被害を最小限にできるトラブル」を、現場目線で整理します。


解体トラブルはこの5種類

解体工事で起きるトラブルは、ほぼ次の5つに集約されます。

大事なのは「起きるかどうか」ではありません。

起きたときに“致命的な状況になるかどうか”です。

  • 追加費用トラブル
  • 近隣トラブル
  • 工期遅延トラブル
  • 破損・事故トラブル
  • 業者との認識ズレトラブル

トラブル① 追加費用トラブル

何が起きる?

地中埋設物(浄化槽、ガラなど)、想定外の残置物、契約外作業の発生などが、「別途請求」として発生します。

事前に防げること

◆ 防げるのは「発生」ではなく、金額の暴走です。

  • 契約書で地中埋設物処理の単価を明記させる
  • 追加費用は「事前説明+書面合意」が必要と明記する
  • 工事範囲(庭木・塀など)を契約前に具体化する

防げないこと

地中に何が埋まっているかは、掘らないと分かりません。

※ 現場立ち合いのもとで都度協議する方法もありますが、施主がすぐ現場に来られないと工事が止まります。
契約時に単価を決めておく方が、現実的で安心です。


トラブル② 近隣トラブル

何が起きる?

騒音・振動・粉塵の苦情、工事時間への不満、境界や敷地のトラブルなど。

事前に防げること

施主が矢面に立つかどうかは、契約前に決まります。

  • 近隣挨拶を業者が行うかを確認
  • 近隣苦情の一次窓口を業者にすると契約時に取り決める
  • 「苦情はすべて業者へ連絡してください」と挨拶時に伝えさせる

防げないこと

クレームそのものをゼロにすること。

※ 優良な解体業者ほど、近隣対応を最優先し、施主に直接迷惑が及ばないよう前に出ます。


トラブル③ 工期遅延トラブル

何が起きる?

天候不良、想定外作業、人員・重機調整ミスなど。

遅延は仮住まい延長や売却遅れなど、施主の現金ダメージに直結します。

事前に防げること

  • 着工日・完了予定日を明記
  • 遅延時の取り決め(業者側の責任)を確認

防げないこと

天候や突発的な事故。

※ 見積もり段階で余裕を持って工程を組む業者なら、遅延はほとんど起きません。
万一遅れた場合の説明と調整力こそ、業者の本当の実力です。


トラブル④ 破損・事故トラブル

何が起きる?

隣家の塀・基礎・車の破損、ガス管・電線などの事故。

事前に防げること

  • 賠償責任保険の加入確認
  • 施主自身での自己防衛(重要)
    • 着工前に境界付近や隣家の塀を写真で記録

※ 業者の記録があっても、施主の記録は別枠で必須です。

防げないこと

人が作業する以上、事故をゼロにすることは不可能です。


トラブル⑤ 業者との認識ズレ

何が起きる?

「それは聞いていない」「契約外です」といった言った言わない問題

現場作業員と話が通っていないケースも含まれます。

事前に防げること

  • 契約内容を具体化し、曖昧な表現を残さない
  • 現場責任者と最低限のコミュニケーションを取る

※ 日常的に声掛けしていれば、軽微な作業は追加費用なしで対応してくれるケースも実際によくあります。

防げないこと

現場での細かな判断のズレ。


まとめ|防げるトラブルだけ、確実に潰せ

解体トラブルはゼロには、できません。

でも──

防げるトラブルを放置するのは、施主の判断ミスです。

今日から必ずやるべきことは、この4つだけ。

  • 契約書を明確にする(曖昧な表現を残さない)
  • 単価を見る(追加費用の暴走を防ぐ)
  • 保険を確認する(事故時の責任を明確化)
  • 業者の「前に出る姿勢」を見る(近隣対応力)

※トラブルを「運」にしないためには、
契約前に見積条件を確認しておくことが不可欠です。

このようなトラブルは、珍しい話ではありません。
問題は「運」ではなく、事前設計の有無です。

👉 同様のトラブルを体系的に防ぐ考え方は、
【完全ガイド】解体工事トラブル回避の全設計図 で整理しています。


本記事は、解体現場に25年以上携わってきた筆者の経験に基づき、
一般的な判断材料としてまとめています。

 この記事を書いた人

秋ちゃん
解体業に25年以上従事。
1級建設機械施工技士/建築物石綿含有建材調査士。
木造・RC・鉄骨解体、アスベスト除去(レベル1〜3)など、
現場責任者として多数の解体工事に携わる。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 解体工事のトラブルって、実際どれくらいの確率で起きますか?

A.正確な統計はありませんが、追加費用・近隣・工期のいずれかが起きるケースは珍しくありません。

ただし、契約前に条件を明確にしている施主ほど「大きなトラブル」には発展しません。
トラブルの有無より、起きたときに致命的な状況になるかどうかが重要です。


Q2. 追加費用は必ず払わないといけませんか?

A.原則として、契約外の作業が発生すれば施主負担になります。

ただし、

  • 単価が明記されている
  • 事前説明と書面合意が必要

この2点があれば、金額の暴走は防げます。
逆に、単価がない契約は業者の言い値になりやすいため要注意です。


Q3. 近隣トラブルが起きたら、施主が直接対応する必要がありますか?

A.いいえ。

優良な解体業者であれば、業者が前面に立って対応します。

そのためにも、

  • 近隣苦情の一次窓口を業者にする
  • 近隣挨拶で「苦情は業者へ」と伝えさせる

この2点を契約前に決めておくことが重要です。


Q4. 工期が遅れた場合、解体費は安くできますか?

A.ケースによりますが、業者側の段取りミスが原因であれば、減額や調整が入ることもあります。

ただし、その判断材料になるのは、

  • 工期が契約書に明記されているか
  • 遅延時の取り決めがあるか

この2点です。書いていなければ、交渉材料すら持てません。


Q5. 事故や破損が起きた場合、施主が賠償することはありますか?

A.基本的には、業者の賠償責任保険で対応されます。

ただし、保険未加入や契約内容が曖昧な場合、施主も巻き込まれるリスクがあります。

そのため、

  • 賠償責任保険の加入確認
  • 着工前の写真記録(自己防衛)

この2つは必須です。


Q6. 現場作業員と直接話しても大丈夫ですか?

A.問題ありません。

むしろ、最低限のコミュニケーションは取るべきです。

顔が見える関係だと、

  • 小さな調整がスムーズ
  • 軽微な作業なら追加費用なしで対応してくれる

というケースも実際によくあります。
ただし、正式な変更は必ず責任者・書面で行ってください。


Q7. 結局、施主が一番やるべきことは何ですか?

A.この3つだけです。

  1. 契約書を読む(曖昧な表現を残さない)
  2. 単価を見る(追加費用の暴走を防ぐ)
  3. 業者の「前に出る姿勢」を見る

これができていれば、
解体工事で「詰む」可能性はほぼ消えます。


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