地中埋設物で追加費用ゼロに! 契約前にやるべき調査と交渉術

解体工事の基礎知識
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1. なぜ地中埋設物は「最悪のサプライズ」なのか?

解体工事の追加費用で最も厄介なのが地中埋設物です。

アスベストのように事前調査の義務があるわけでもなく、見積もり時には目視確認も不可能なため、工事を開始して初めて発見されるケースがほとんどです。

1-1. 読者の恐怖事例と追加費用の統計的現実

工事途中で「古い浄化槽が出てきました。撤去で80万円追加です」というような請求は、実際によく起こります。

統計的にも、追加費用の約7割が事前に把握できない地中埋設物によるものとされており、場合によっては総工事費が2倍に膨らむケースもあります。

なお、埋設物の撤去・処分費用は原則として「土地所有者(施主)」の負担です。

1-2. 地中埋設物が契約前に発見できない理由

業者の現地調査では、建物の下に隠れた基礎や深い場所の埋設物を確認することは不可能です。「掘ってみるまで分からない」構造になっており、追加請求が発生しやすい原因となっています。

1-3. この記事でわかること

本記事では、契約書に盛り込むべき単価設定や、交渉で使える具体的な文言を提示し、地中埋設物による追加費用リスクを最小限に抑える方法を解説します。

なお、地中埋設物は解体トラブル全体の中でも
「最も金額インパクトが大きいリスク」のひとつにすぎません。

追加費用・契約・整地・税金まで含めた解体工事全体のリスク構造を把握したい方は、
先にこちらの設計図をご確認ください。

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2. 地中埋設物の定義と費用を押し上げる正体

2-1. 法的に地中埋設物とされるものと「施主の責任」

地中埋設物とは、過去の基礎、コンクリートガラ、浄化槽、古井戸など、現在の工事で発生したものではない地下の構造物・廃棄物を指します。

これらは撤去・処分を施主が負担するのが一般的です。

2-2. 特に費用が高くなる「危険な埋設物」と概算相場

レベル埋設物の種類処理費用目安費用内訳
レベル1産廃・特殊廃棄物内容により高額特殊運搬費・特殊処分費
レベル2浄化槽・石油タンク8〜40万円洗浄・密閉・撤去・処分
レベル3古い基礎・コンクリートガラ2〜10万円/m³掘削・運搬・がれき処分費
レベル3古井戸・地下室5〜20万円埋め戻し作業費・資材費

2-3. 試掘調査(ボーリング)の効果と現実的判断基準

試掘調査とは、敷地の一部を掘って埋設物の有無を確認する手法です。

ただし費用が数十万円かかるため、一般的な戸建て解体では行いません。

土地売却などで完全な確認が必要な場合にのみ検討すべきです。


3. 追加費用が発生する仕組みと処分費の相場感

3-1. 埋設物で費用が「倍増」するメカニズム

埋設物の撤去は通常工事とは別費用です。

内訳

  • 掘削(重機作業)
  • 分別・運搬
  • 産業廃棄物としての処分費

悪質な業者は、この「単価」を契約後に高額設定するケースがあるため注意が必要です。

3-2. 具体的な追加請求事例

ー例ー
30坪木造住宅(本体解体工事100万円)
解体中に8m³のコンクリートガラを発見。
業者単価:5万円/m³ → 追加40万円
総額は140万円となり、40%超の増額です。

3-3. 悪質業者の典型的手口

  • 契約書に単価を記載しない
  • 発見後に「相場の2倍」の金額を提示する

施主の権利として、単価未確定の追加請求は支払保留が可能である点を覚えておきましょう。


4. 追加費用をコントロールする契約交渉テンプレ

追加費用を抑える唯一の方法は、「埋設物が出る前提」で契約書に単価を明記させることです。

地中埋設物と同じ構造で、
「契約前に潰さないと後から爆発する項目」は他にも存在します。

解体工事でよくあるトラブルを体系的に整理した全体設計はこちらです。
👉【完全ガイド】解体工事トラブル回避の全設計図

4-1. 契約書に含めるべき3つの項目

項目1:種類別の単価明記
ガラ・浄化槽・古井戸など、1m³あたりの撤去・処分単価を明記する。

項目2:報告と作業ストップのルール
発見時は施主への写真報告と説明を義務化し、承諾が出るまで作業を再開しない。

項目3:上限額の設定
万が一大規模な埋設物が出た場合の支払い上限額を取り決める。

4-2. 状況別の交渉文言テンプレ

テンプレ1:単価を引き出す牽制
「他社様はガラ処理で〇〇円/m³と提示されています。
御社も近い単価で契約書へ明記をお願いします。」

テンプレ2:施主立ち会いルール
「埋設物発見時は施主立ち会いの上、追加費用確定後に作業を再開してください。」

テンプレ3:上限額設定の交渉
「埋設物撤去費の総額は、本体工事費の〇〇%を上限とし、それ以上の場合は再協議としてください。」

4-3. 業者へ送る単価確認の例文

「見積もりに埋設物処理単価の記載がありませんでした。コンクリートガラと浄化槽の処分単価を契約書に追記したいので、具体的な単価をご提示ください。」

-参考ー

埋設物が確認された場合、原則として追加料金が発生します。
ただし量が少なく、容易に撤去できる場合はサービスとして対応してくれることもあります。
まずは施工業者へ相談してみるとよいでしょう。


5. 土地売却・活用を見据えた最終チェック

5-1. 地中埋設物対策の最終チェックリスト

  • ガラ・浄化槽の撤去単価を契約書に明記したか
  • 発見時の報告ルールを決めたか
  • 埋設物処理は「追加費用単価」で支払う仕様になっているか

5-2. 完了証明の取得

撤去した埋設物の写真やマニフェスト(産廃管理票)は保管が必須です。

土地売買時のトラブル防止に役立ちます。

5-3. 契約不適合責任のリスクと回避策

売却後に買主が埋設物を発見した場合、売主が責任を負う可能性があります。
回避策として、

  • 業者の「埋設物なし確認書」を取得
  • 売買契約で「埋設物の不存在を保証しない」旨を明記

これらを徹底してください。


本記事は、解体現場に25年以上携わってきた筆者の経験に基づき、
一般的な判断材料としてまとめています。

 この記事を書いた人

秋ちゃん
解体業に25年以上従事。
1級建設機械施工技士/建築物石綿含有建材調査士。
木造・RC・鉄骨解体、アスベスト除去(レベル1〜3)など、
現場責任者として多数の解体工事に携わる。

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よくある質問

Q1. 地中埋設物って、必ず追加費用がかかるもの?

A. 原則かかる。例外はほぼ期待しないで。

埋設物は「見積もり対象外」が前提。
無料でやってくれるケースは、
・量がごく少ない
・重機ついでに取れた
このレベルだけ。
「サービスでやりますよ」はラッキー枠。


Q2. 見積もりに「埋設物処理 一式」って書いてあるけど大丈夫?

A. 一番ダメ。赤信号。

一式=単価不明=業者の言い値。
後から
「思ったより多かったので+80万です」
って言われても、反論できない契約になる。


Q3. 相場より高い単価を提示されたら断れる?

A. 断れる。交渉できる。

契約前なら完全に施主優位。
「他社は〇円/m³でした」で十分。
それで機嫌悪くなる業者は、
あとで絶対トラブル起こす。


Q4. 埋設物が出たら、工事は勝手に進められる?

A. 本来は進めちゃダメ。

正しい流れは
① 写真報告
② 内容説明
③ 金額提示
④ 施主承諾
⑤ 作業再開
これを飛ばす業者は、管理が雑。


Q5. 「今日中に判断しないと工期が延びます」と言われたら?

A. 半分本当、半分脅し。

工期は延びるかもだけど、
その焦らせ方する業者は要注意。
「写真と数量を確認してから判断します」
これでOK。冷静でいこ。


Q6. 上限額設定って、業者は嫌がらない?

A. 嫌がる。でも出す業者は信用できる。

上限を出せない=
リスク管理できてない or ぼったくる気。
まともな業者は
「この範囲ならこの金額」って説明できる。


Q7. 試掘調査はやったほうがいい?

A. 普通の戸建てなら不要。

数十万円かけても、
全部の埋設物が見つかるわけじゃない。
売却前で「完全開示」が必要なときだけ検討。


Q8. 埋設物を撤去した証明は必要?

A. 絶対必要。未来の自分を助ける。

・写真
・マニフェスト
これがないと、
売却後に「知らなかったで済まない」
って状況になる。


Q9. 「埋設物なし確認書」って意味ある?

A. 売却するなら意味ある。

完全保証じゃないけど、
「当時は確認できなかった」
という防御材料になる。
売主側のリスクは確実に下がる。


Q10. 結局、施主が一番やるべきことは?

A. 契約前に単価を決める。それだけ。

・種類別単価
・報告ルール
・上限額

これを決めてない解体契約は、
爆弾抱えて着工するのと同じ。

※ここまで理解したなら、次は「自分の見積もりが安全かどうか」を確認するだけです。


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