─ 契約前に潰せる3つの落とし穴 ─
【この記事の要約】
- 契約担当と現場担当が別れることで「伝言ミス」と「責任のズレ」が必ず発生し、追加費用や境界トラブルの原因になる。
- 特に境界杭の誤破損は、将来の売却価格や資産価値まで失わせる“致命的リスク”。
- 契約前の質問、写真記録、赤字図面の現場掲示の3つで、ほぼ全てのトラブルは未然に防げる。
「営業の人には、ちゃんと伝えたはずなのに……」
解体工事が始まってから、現場で立ち尽くす施主は少なくありません。
契約で話した内容が、現場で突然「無効化」される。
この瞬間こそが、解体工事で最も危険な局面です。
- 追加費用
- 近隣トラブル
- 取り返しのつかない事故。
これらの多くは、業者の悪意ではなく、業界特有の「構造」から生まれます。
ただ、安心してください。
特別な専門知識は必要ありません。
正しい手順さえ押さえれば、誰でも「致命的なズレ」を防ぐことができます。
25年の現場経験から、その正体と自衛策を明かします。
1.「認識ズレ」が起きる3つの構造的理由

なぜ、どれほど念押ししても「伝言ゲーム」が失敗するのか。
その理由は次の3つに集約されます。
1-1.営業と現場は「目標」が違う
営業担当にとって最重要なのは「今月の契約件数」であり、現場の負担やリスクより、契約を取ることが評価に直結します。
これは個人の誠実さではなく、会社の評価制度が生む構造問題です。
営業の「安心できます」が、本当に現場の裏付けを持っているのか。
それを確認できるのは施主だけです。
1-2.引き継ぎが「個人のやり方」に依存している
統一された引き継ぎルールがない会社が多く、
口頭・走り書き・雑な写真など、担当者の癖に左右されます。
重要な約束ほど「粗い網目」から漏れていきます。
1-3.誰も悪者にならない仕組み
- 営業「現場の判断です」
- 現場「営業が勝手に言いました」
責任の逃げ場が多いほど、最後に損をするのは施主です。
つまりこの構造が変わらない限り、
あなたが主導権を握るしかありません。
2.実際に起きる典型トラブルと「境界杭」の恐怖

実際、僕が現場で見てきたトラブルの多くは、ほんの数センチの境界杭の見落としから始まっています。
不用品撤去:
営業の「サービスします」が現場に伝わらず、当日に追加費用。
養生・近隣対策:
営業は「やります」、現場は「危険で無理です」。施主が板挟み。
そして最も危険なのが 境界杭(きょうかいぐい) です。
境界杭は、隣地との「法的な境界」を示す唯一の証拠。
これをズラしたり紛失したりすると、
- 測量費に数十万円
- 隣人との協議に数ヶ月
- 工事中断の可能性
に加え、
将来的に「境界未確定」と判定され、不動産売買で価格が大幅に下がる、または売れない
という最悪の事態すら起こります。
つまり境界杭の損失は、
「今の工事の問題」ではなく
あなたの土地資産の未来を壊す事故 なのです。
3.契約前に潰すべき3つの落とし穴

3-1.担当者の役割を明確にする
まずは「営業か、現場監督か」を確認。
次に、
- 「現場監督は毎日来ますか?」
- 「職長(現場のリーダー)と直接話せますか?」
と踏み込み、「名ばかり監督」を排除します。
3-2.引き継ぎの形式を指定する
「引き継ぎは書面ですか?写真ですか?」
形式を確認し、可能であれば引き継ぎの場に同席します。
3-3.「文字+写真+矢印」で記録
不用品、境界、近隣配慮などのポイントを、
写真に赤字と矢印を入れて保存。
この記録があるだけで、
後から「聞いていない」は一切通りません。
※ ここまでの落とし穴を踏まえると、
「担当者の質」と「引き継ぎ体制」が整った業者を選ぶことが何より大切です。
もし、複数の業者を比較して安心できる会社を探したい場合は、
下記サービスが参考になります。
4.「責任のズレ」を消す魔法のフレーズ

契約前にこれらのフレーズを投げかけてください。
業者の対応が、目に見えて変わります。
- 「現場監督さんにも同じ説明を共有したいので、引き継ぎの場に私も同席できますか?」
- 「図面や写真に双方でサインして、それを現場に掲示してもらえますか?」
このフレーズを口にした瞬間、
業者の表情が変わります。
この施主は騙せない。情報管理ができている
という緊張感が走り、
曖昧な返答が消え、向こうから確認の連絡が来るようになります。
特に重要なのが「現場掲示」。
図面に赤字で注意点を書き、
- 「休憩所のテーブル横」
- 「工具置き場」
- 「重機のキャビン脇」など、
職人が必ず目にする場所に貼ってもらってください。
契約書では現場は動きません。
現場を動かすのは掲示された赤字の指示だけです。
まとめ
★ 施主が主導権を握る最終チェックリスト
「担当者が分かれている」のは業界の仕様。
しかし、それを放置するか、コントロールするかで結果は大きく変わります。
優先すべきは「現場に届く情報」。
ここが弱ければ、全てが崩れます。
- [ ] 境界杭を含む解体範囲を写真で三者確認したか
- [ ] サイン入り赤字図面を現場掲示したか
- [ ] 営業と現場監督の名前と連絡先を確認したか
- [ ] 不用品・付帯工事の内容を文字で残したか
- [ ] 「現場へ共有済み」の証跡(メール等)をもらったか
※ 上記のチェックポイントをすべて満たせる業者を見つけるには、
複数社を比較し、担当者の対応や引き継ぎ体制を慎重に確認する必要があります。
そのための第一歩として、下記の比較サービスが役立ちます。
これらの行動で、あなたは「カモ」ではなく
「管理できる施主」として扱われます。
結果として、
適正な業者との強い信頼関係が築けます。
※ 業者選びの詳細は、こちらにまとめています。
→ 【完全ガイド】解体業者選びで失敗しないための9つの判断軸と管理術
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
解体工事は複雑に見えますが、正しい知識と手順があれば必ず安全に進められます。
不安な点があれば、いつでも参考にしてください。
この記事を書いた人
秋ちゃん
解体業に25年以上従事。
1級建設機械施工技士/建築物石綿含有建材調査士。
木造・RC・鉄骨解体、アスベスト除去(レベル1〜3)など、
現場責任者として多数の解体工事に携わる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 営業担当の言われたことを信じても大丈夫ですか?
A. 営業の説明だけを鵜呑みにするのは危険です。
営業と現場では役割も判断基準も違うため、必ず「現場監督がその内容を確認済みか」をセットで確認してください。
Q2. 現場監督が「忙しくて来られない」と言われました。工事して大丈夫ですか?
A. 注意が必要です。
名ばかり監督の可能性が高く、情報の伝達ミスが起きやすい状態です。
現場に来る頻度・職長との連携・連絡体制を再確認してください。
Q3. 境界杭はどうやって確認すればいいですか?
A. 営業と現場監督、そして施主の三者で「現地で指差し確認」するのが最も確実です。
写真に残し、図面にも位置を赤字で記録してください。
Q4. 引き継ぎの場に同席するのは、業者に嫌がられませんか?
A. むしろ逆です。
同席を求める施主は管理能力が高く、トラブルを起こさない「良い施主」と見なされます。
しっかりした会社ほど歓迎します。
Q5. 記録はどこまで残せば十分ですか?
A. 「不用品」「残すもの」「境界」「近隣対策」は必須項目です。
写真に赤字と矢印を書き、工事前のメールに添付しておけば、ほぼ全てのトラブルを回避できます。
Q6. 追加費用はどんな時に発生しやすいですか?
A. 最も多いのは「不用品の範囲」と「解体範囲の認識違い」です。
契約前に詳細を文字と写真で残せば防げます。
Q7. 業者に任せきりにするのはダメですか?
A. 任せきりはリスクが高いです。
施主が確認するべきポイントは多くありませんが、そこだけ押さえれば工事は安全に進みます。
丸投げが最もトラブルを生むパターンです。






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