【警告】耐震建替え補助金は「解体補助金ではない」|計画中止なら全額返還の厳格な仕組み

解体工事の基礎知識
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この補助金、途中でやめたら全額返還です。

仕組みを理解せずに申請すると、取り返しのつかない事態になりかねません。

耐震建替え補助金は、費用削減の「切り札」ではありません。

これは、古い建物を「耐震性の高い新しい建物に変える」という建替えプロジェクト全体に対する支援制度です。

解体費用が安くなる以上に、
計画中止・条件未達時の「全額返還リスク」という極めて重い責任を負う補助金でもあります。

本記事では、この補助金の厳格な仕組みと使える人・使えない人の線引きを明確にし、安易な申請によるトラブルを未然に防ぎます。


あなたは使える人?使えない人?

まず断言します。

以下に1つでも該当する場合、利用できない可能性が極めて高いです。

利用できない人が必ず引っかかる3つの条件

  • 築年数が新しい
     昭和56年5月31日以降(新耐震基準)の建物は、原則として対象外です。
  • 純粋な投資・賃貸目的
     原則は自己居住用。投資・賃貸目的は対象外となる自治体が大半です。
  • 自治体の予算枠が終了している
     予算制のため、申請時期が遅れるとその年度は終了です。

※上記に1つでも該当する場合、耐震建替え補助金は「使えない前提」で考えるべきです。


補助金を使える人の絶対条件

使える人には、共通点があります。

  • 旧耐震建物
     昭和56年5月31日以前に建てられている
  • 耐震診断でNG判定
     自治体基準で「耐震性が不足している」と診断されている
  • 建替え計画が確定している
     解体後、新耐震基準(またはそれ以上)を満たす建物を建てる計画がすでに固まっている

ここが曖昧なまま申請するのは、正直かなり危険です。


最大の落とし穴|計画中止なら「全額返還」の現実

ここが、最も誤解され、最もトラブルになるポイントです。

なぜ「解体補助金ではない」のか

耐震建替え補助金の目的は、
「安全な新しい建物に置き換えること」です。

解体はゴールではありません。

新しい建物が完成して、初めて目的達成となります。

つまり、
解体はあくまで“途中工程”にすぎません。


計画が止まった瞬間、補助金は「返すお金」に変わる

もし解体後に、

  • 資金難
  • ローン否決
  • 建築計画の頓挫

などで建替えが実行できなくなった場合、すでに支給された補助金(解体費を含む)を
全額返還
するよう命じられる可能性があります。

これは脅しではありません。

補助金交付要綱に明記された正式なルールです。

※返還の有無・範囲は、各自治体の要綱・交付条件に基づき判断されます。

資金計画と建築契約が確定していない状態で手を出すべき制度ではありません


【比較】老朽危険家屋解体補助金との決定的な違い

判断を誤らないために、違いを整理します。

比較項目耐震建替え補助金老朽危険家屋解体補助金
補助対象解体費+新築建築費の一部解体費のみ
目的耐震性の高い建物への置き換え危険建物の除去
最大リスク計画中止で全額返還解体完了で原則終了

【結論】
解体だけを目的とするなら、耐震建替え補助金を選ぶ理由はありません。

この制度は、
「必ず建て替えることが決まっている人」専用です。


まとめ|補助金は「重い責任」

耐震建替え補助金は、大きな費用削減の可能性がある一方で、計画を最後までやり遂げる責任がセットで付いてきます。

検討していいのは、次がすべて確定してからです。

  • 資金計画
  • 建築契約
  • 工期(年度内完結)

少しでも不確実なら、まずはリスクの低い老朽危険家屋解体補助金の利用可否から確認してください。

順番を間違えた瞬間、この補助金は「味方」から「負債」に変わります。

この補助金は、「解体費が安くなる制度」ではありません。

解体・建築・資金計画を含めた
“一連のプロジェクト”を最後までやり切れる人だけが検討すべき制度です。

※補助金を使わない判断をした人ほど、次にやるべきことはシンプルです。

補助金を含めた解体工事全体のリスク構造は、こちらで整理しています。
👉 【完全ガイド】解体工事トラブル回避の全設計図

その他の参考制度


本記事は、解体現場に25年以上携わってきた筆者の経験に基づき、
一般的な判断材料としてまとめています。

 この記事を書いた人

秋ちゃん
解体業に25年以上従事。
1級建設機械施工技士/建築物石綿含有建材調査士。
木造・RC・鉄骨解体、アスベスト除去(レベル1〜3)など、
現場責任者として多数の解体工事に携わる。

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◆よくある質問

Q1. 耐震建替え補助金は、木造住宅でも利用できますか?

A. 利用できます。

ただし、対象となるのは昭和56年5月31日以前に建てられた旧耐震の木造住宅で、
耐震診断の結果「耐震性が不足している」と判断された場合に限られます。
木造だから有利、という制度ではありません。


Q2. 解体だけ先にして、あとから建替え補助金を申請できますか?

A. できません。

耐震建替え補助金は、申請・交付決定前の着工が一切認められていません
解体を先に行った時点で、補助対象外になります。


Q3. 老朽危険家屋解体補助金と併用できますか?

A. 原則できません。

同一の解体工事に対して、複数の補助金を重ねて受け取ることはできません。
どちらか一方を選ぶ制度です。


Q4. 解体後に建替え計画が中止になったら、どうなりますか?

A. 全額返還を求められる可能性があります。

耐震建替え補助金は「新しい建物の完成」までが前提です。
解体後に計画が頓挫した場合、
すでに支給された補助金(解体費を含む)の返還対象となることがあります。


Q5. 予算が足りなくなった場合、翌年度に繰り越せますか?

A. 原則できません。

申請・交付決定・工事・完了報告は、同一年度内で完結する必要があります。
「来年に回す」という選択肢は、基本的にありません。


Q6. 業者が補助金の申請を代行してくれますか?

A. 原則、申請者は施主本人です。

業者は書類作成の補助はできますが、申請の主体・責任はあくまで施主にあります。
「全部業者任せ」は、トラブルの元です。


Q7. どの時点で検討すべき補助金ですか?

A. 建替えが確定してからです。

資金計画・建築契約・工期が固まっていない段階での検討は危険です。
解体だけが目的なら、老朽危険家屋解体補助金を先に確認してください。


     

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