◆ 記事の要約
「この土地では、家を建て替えられません」
そう言われても、
長年暮らしてきた家や、
思い入れのある土地を、
簡単には諦められないものです。
「建て替えが無理なら、
もう住み続ける方法はないの?」
「柱や骨組みを残してリフォームすれば、
きれいな家にできる?」
そんな疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、
再建築不可の家でも、
今ある建物を生かした改修によって、
住み続けられる可能性はあります。
- 外壁
- 屋根
- 内装
- 水回り
などを改修すれば、
見た目や住み心地を新築に近づけることもできます。
ただし、
骨組みを残せば、
何でも自由に工事できるわけではありません。
2025年4月の建築基準法改正によって、
一定の大規模リフォームでは、
建築確認が必要となる範囲も広がりました。
この記事では、
再建築不可の家を、
直して住み続けたい方に向けて、
- 改修できる範囲
- 法律上の注意点
- 費用
- 解体前に確認すべきこと
を分かりやすく説明します。
今ある家を直して住み続けられる?

再建築不可とは、
現在の敷地や道路の条件などでは、
原則として建物を建て替えられない状態を指します。
ただし、
道路の状況・認定・許可などによって、
建て替えが認められる可能性もあります。
▶ 再建築不可とは
代表的なのは、
敷地が、
建築基準法上の道路に必要な幅で接していないケースです。
ただし、
建て替えできないことと、
今ある家を修理できないことは別の話です。
例えば、
雨漏りを直したり、
古くなったキッチンを交換したりする工事まで、
すべて禁止されるわけではありません。
建物の状態や、
法律上の条件によっては、
もっと大きな改修ができる場合もあります。
ここで最初に確認したいのは、
なぜその家が再建築不可なのかということです。
接道条件が原因なのか、
ほかの建築制限があるのか。
また、
建築当時は適法だったものの、
現在の基準に合わなくなった、
既存不適格建築物なのか、
もともと違反のある建物なのかによっても扱いは変わります。
まずは建築士や自治体に、
土地と建物の状況を確認してもらいましょう。
再建築不可の家を新築に近づける6つの改修方法
「建て替えられないなら、古い家のまま我慢するしかない」
そう考える必要はありません。
既存の建物を生かしながら、暮らしやすさを大きく改善できる方法があります。
① 外壁・屋根を改修する

古くなった外壁や屋根を改修すると、
家の印象は大きく変わります。
見た目だけでなく、
雨漏りや劣化への対策にもつながります。
ただし、
屋根などを大きく改修する場合は、
工事内容によって建築確認が必要になることがあります。
② 内装や間取りを変更する

壁紙や床を新しくしたり、
使いにくい間取りを見直したりする方法です。
例えば、
暗かった居間を明るくしたり、
段差を減らしたりすることで、
日々の暮らしは変わります。
ただし、
柱や耐力壁など、
建物を支える部分を撤去する場合は、
構造上の安全性を確認する必要があります。
③ キッチンや浴室などの設備を交換する

- キッチン
- 浴室
- トイレ
などの交換は、
住み心地を改善する方法の一つです。
古い住宅では、
設備だけでなく、
給排水管や電気配線の状態も確認しておくとよいでしょう。
④ 断熱性能を改善する

冬の寒さや、
夏の暑さに悩んでいるなら、
断熱改修も検討したいところです。
窓の交換や内窓の設置、
壁・床・天井への断熱材の施工など、
建物に合った方法を選びます。
⑤ 耐震補強を行う

古い住宅では、
見た目をきれいにするだけでなく、
耐震性の確認も大切です。
耐震診断を受け、
必要に応じて壁や接合部、
基礎などを補強します。
⑥ 基礎・柱・梁の劣化を補修する

長年使われてきた住宅では、
木材の腐朽やシロアリ被害、
基礎のひび割れなどが見つかることがあります。
傷んだ部分を補修できる場合もありますが、
構造体の広い範囲に問題があると、
改修自体が難しくなることもあります。
ここで覚えておきたいのは、
見た目が新築に近づいても、
建物の安全性や寿命まで、
自動的に新築と同じになるわけではないということです。
見えなくなる部分こそ、
工事前にしっかり調べてもらいましょう。
2025年4月の法改正で何が変わった?骨組みを残せば申請不要?
ここは、
再建築不可の家を、
大きく改修するうえで重要な部分です。
以前は、
一般的な木造住宅の大規模なリフォームでも、
建築確認が不要となるケースがありました。
しかし、
2025年4月の建築基準法改正により、
木造2階建て住宅などは、
新2号建築物に分類され、
大規模な修繕・模様替を行う際には、
原則として建築確認が必要になりました。
大規模な修繕・模様替とは?
簡単に言えば、
建物の主要構造部を広い範囲で修理したり、
造り替えたりする工事です。
例えば、
柱・梁・床・屋根などの主要構造部のうち、
いずれか一種類について、
過半を修繕・模様替する場合などが該当します。
ただし、
屋根の仕上げ材だけを交換する工事など、
主要構造部の改修に当たらないものもあります。
工事の名前が、
フルリフォームだから決まるのではなく、
どこをどの程度工事するかで判断されます。
建築確認が必要なら、再建築不可の家は改修できない?
建築確認が必要になったからといって、
必ず改修できなくなるわけではありません。
適法に建てられた後、
法改正などによって、
現在の基準に合わなくなった既存不適格建築物には、
一定の大規模修繕・模様替について、
緩和措置があります。
ただし、
その措置を使えるかどうかは、
建物の履歴や工事内容によって変わります。
柱を何本残せばリフォーム扱いになる?
- 四隅の柱を残せば大丈夫
- 基礎を残しておけば新築にはならない
こうした考え方は危険です。
柱を何本残せば必ず改修扱いになる、
という全国共通の基準はありません。
実際の工事内容によっては、
改修ではなく、
改築などと判断される可能性があります。
また、
建築確認が不要な工事でも、
建築基準法などへの適合義務がなくなるわけではありません。
確認申請を避けるために解体範囲を決めるのではなく、
建築士に、
適法で安全な改修計画を立ててもらうことが先です。
改修と改築の違い
改修は、
今ある建物を生かして修理したり、
性能を改善したりすることです。
一方、建築基準法上の改築は、
建物の全部または一部を取り壊すなどして、
従前と、
用途・規模・構造が、
著しく異ならない建物を造ることを指します。
再建築不可の家では、
この違いが重要です。
既存建物の大規模修繕・模様替として認められる工事でも、
改築に該当すると、
接道条件などの問題によって工事が難しくなる場合があります。
柱を残せば改修になると自己判断せず、
建築士に工事内容を確認してもらってから解体範囲を決めましょう。
大規模改修ができる家・難しい家は何が違う?
同じ再建築不可の住宅でも、
改修できる範囲は一軒ごとに違います。
特に確認したいのは、
次の3点です。
➀ 建物がどのような経緯で建てられたか。
建築確認の記録や、
増改築の履歴を調べ、
既存不適格なのか、
違反があるのかを確認します。
➁ 建物を支える部分が健全かどうか。
基礎や柱、
梁に深刻な腐朽や損傷があれば、
希望する改修が難しくなることがあります。
➂ 希望する工事が構造上・法律上可能かどうか。
大きな窓を設けたい、
壁を取り払って広い部屋にしたいと思っても、
建物を支える壁などを自由に撤去できるとは限りません。
どんな家にしたいかと同じくらい、
今の家をどこまで安全に使えるか、
を調べることが大切です。
新築に近づける改修費用とリフォームローンの注意点
大規模改修では、
工事費が予想以上にかかることがあります。
外壁・内装・設備の交換だけでなく、
次のような費用が必要になる場合があるためです。
- 建物の調査・設計費
- 既存部分の解体・撤去費
- 仮設補強費
- 耐震補強・構造補修費
- 断熱・設備工事費
改修費用は、
建物の傷み具合や工事範囲によって大きく変わります。
特に、
- 基礎
- 柱の補修
- 耐震補強
- 仮設工事
などが必要になると、
費用が高額になる場合があります。
金額だけで判断せず、
建物調査を行ったうえで、
工事内容が分かる見積もりを取ることが大切です。
再建築不可でもリフォームローンは使える?
利用できる可能性はあります。
ただし、再建築不可物件は、
担保評価などの面で制約が生じることがあり、
金融機関や、
ローン商品によって融資条件が異なります。
そのため、
工事の計画だけ先に進めるのではなく、
見積もりと資金調達の確認を並行して進めましょう。
また、
古い住宅では、
壁や床を開けて初めて傷みが分かることもあります。
追加工事に備え、
契約前に、
どんな場合に追加費用が発生するのかも確認しておくと安心です。
改修に伴う解体費用も、
事前に確認しておきましょう。
古い家を大きく改修する場合、
内装や設備の撤去など、
解体工事が必要になることがあります。
改修する範囲が決まったら、
解体工事の費用も確認しておくと、
資金計画を立てやすくなります。
骨組みだけ残す解体は危険?現場で注意したいこと
ここは、
解体工事を依頼する前に知っておいてほしい部分です。
家を全部壊す工事と、
必要な部分を残しながら壊す工事では、
注意する点が違います。
例えば、
古い木造住宅で壁や筋交いを取り外すと、
それまで建物を支えていた、
力のバランスが変わることがあります。
特に、
老朽化した住宅を骨組みだけの状態にすると、
解体途中で建物が傾いたり、
倒壊したりする危険も考えられます。
そのため、
必要に応じて仮筋交いや、
支保工などを設け、
施工順序を慎重に決める必要があります。
最後に柱を残しておけばいいという考え方では、
安全な工事はできません。
解体業者が独自の判断で柱や梁を撤去するのではなく、
建築士や改修業者と連携し、
残す部分を図面などで明確にしておくことが重要です。
家を全部壊すより、
残す部分を守りながら壊す方が難しい現場もあります。
だからこそ、
改修計画が決まる前に、
解体だけを先行させないでください。
解体工事では、
事前の打ち合わせ不足が、
工事範囲の食い違いや、
思わぬトラブルにつながることがあります。
解体工事で起こりやすいトラブルと、
その防ぎ方については、
こちらも参考にしてください。
再建築不可の家を改修するまでの6ステップ
何から始めればいいか分からない方は、
次の順番で進めると整理しやすくなります。
- 再建築不可の理由を確認する。
道路との接し方や道路の種類、
建物の履歴などを調べます。 - 建て替えできる可能性も調べる。
セットバックや、
建築基準法43条2項の認定・許可などによって、
建築が認められる可能性がないか確認します。 - 建築士に建物を調査してもらう。
基礎・柱・梁の状態、
耐震性・腐朽・シロアリ被害などを確認します。 - 改修計画と必要な手続きを決める。
どこまで改修できるのか、
建築確認が必要か、
既存不適格の緩和措置を利用できるかを確認します。 - 見積もりと資金計画を確認する。
工事費だけでなく、
追加費用の可能性や融資条件も調べます。 - 残す部分と施工順序を決めて着工する。
建築士・改修業者・解体業者が、
工事内容を共有してから作業を始めます。
この順番なら、
建物を壊してしまってから、
改修できなかったと気づくリスクを減らせます。
改修に伴う解体工事では、
残す部分と撤去する部分を、
正確に共有できる業者を選ぶことが大切です。
解体業者を選ぶ際の確認ポイントは、
こちらの記事でも紹介しています。
改修が難しい場合、ほかに方法はない?
調査の結果、
建物の傷みが激しかったり、
改修費用が予算を大きく超えたりすることもあります。
そんなときは、
改修以外の可能性も確認してみましょう。
例えば、
道路の幅員などが問題になっている土地では、
セットバックが関係する場合があります。
また、
一定の条件を満たせば、
建築基準法43条2項の認定・許可によって、
建築が認められる可能性もあります。
ただし、
セットバックすれば必ず再建築できるわけではありません。
道路の種類や敷地の状況などによって判断が異なるため、
建築士や自治体への確認が必要です。
それでも改修や建て替えが難しい場合は、
売却なども含めて考えることになります。
大切なのは、
選択肢を調べないまま全解体してしまわないことです。
セットバックとは、
道路の幅を確保するために、
道路境界線とみなされる位置まで、
建物や塀などを後退させることです。例えば、
幅3mの道路が建築基準法上の「2項道路」に該当する場合、
原則として道路の中心線から、
2mの位置が道路境界線とみなされます。このように、
道路が狭いことが問題になっている土地では、
セットバックによって、
建て替えが可能になる場合もあります。ただし、
前の道が建築基準法上の道路ではない場合や、
必要な接道条件を満たしていない場合は、
セットバックだけでは解決しません。解体する前に、
建築士や自治体の建築指導課へ確認しましょう。
なお、
セットバックした部分は、
建物を建てる敷地面積に算入できないため、
建て替え後の家が、
以前より小さくなる可能性もあります。
改修も建て替えも難しい場合は、
建物を残したまま売却する方法もあります。
再建築不可の空き家を売るときの注意点や、
解体前に確認しておきたいことは、
こちらの記事で詳しく説明しています。
まとめ
再建築不可の家でも、
今ある建物を生かした改修によって、
住み続けられる可能性はあります。
- 外壁
- 屋根
- 内装
- 設備
を新しくすれば、
見た目や住み心地を、
新築に近づけることもできるでしょう。
ただし、
骨組みを残せば自由に改修できるわけではありません。
2025年4月の法改正によって、
一定の大規模改修では、
建築確認が必要となる範囲も広がっています。
また、
建物の安全性や工事費、
資金調達についても確認が必要です。
一番避けたいのは、
改修できると思って先に建物を壊し、
後から工事が進められなくなることです。
建て替えできないと言われても、
すぐに諦める必要はありません。
まずは建築士に相談し、
今ある家を安全に残して直せるのか、
調べるところから始めましょう。
※ 改修計画が決まったら、
解体費用も確認しておきましょう。
再建築不可の家は、
先に解体してしまうと元に戻せない場合があります。
まずは建築士に相談し、
改修できる範囲と残す部分を決めることが大切です。
そのうえで解体工事が必要になった場合は、
工事範囲を明確にして見積もりを確認しましょう。
本記事は、
長年解体現場に携わってきた筆者の経験に基づき、
一般的な判断材料としてまとめています。
この記事を書いた人
秋ちゃん
解体業に25年以上従事。
1級建設機械施工技士/建築物石綿含有建材調査士。
木造・RC・鉄骨解体、アスベスト除去(レベル1〜3)など、
現場責任者として多数の解体工事に携わる。
よくある質問(FAQ)
Q1.再建築不可でもフルリフォームできますか?
A.可能な場合があります。
ただし、
建物の適法性や劣化状態、
工事内容によって異なります。
建築士による調査が必要です。
Q2.柱を残せば建築確認は不要ですか?
A.いいえ。柱の本数だけで判断することはできません。
実際の工事範囲や建物の規模などによって判断されます。
Q3.2025年の法改正で大規模リフォームができなくなったのですか?
A.一律に禁止されたわけではありません。
建築確認が必要となる範囲は広がりましたが、
既存不適格建築物には一定の緩和措置があります。
Q4.平屋なら建築確認は不要ですか?
A.木造平屋で延べ面積200㎡以下など、一定の建物では大規模修繕・模様替の建築確認が不要となる場合があります。
ただし、
工事が改築などに該当する場合や、
ほかの法的条件については別途確認が必要です。
Q5.築50年以上でも新築に近づけられますか?
A.建物の状態によります。
外観や内装を新しくできても、
基礎や構造体の劣化が深刻な場合は、
希望する改修が難しいこともあります。
Q6.再建築不可でもリフォームローンを組めますか?
A.利用できる可能性はあります。
ただし、
担保評価や金融機関の商品条件によって異なるため、
工事契約前に確認しましょう。
Q7.解体業者に骨組みだけ残してもらえばいいですか?
A.先に解体を依頼するのは避けましょう。
建築士が改修計画を立て、
残す部分や仮設補強の方法を決めてから工事を進めることが重要です。
Q8.セットバックすれば建て替えできますか?
A.建て替えできる場合もありますが、セットバックだけで解決するとは限りません。
道路種別や接道状況などを確認する必要があります。
解体費用・手続き・税金・業者選び・近隣トラブルなど、
解体工事でよくある疑問は、
Q&A形式で分かりやすくまとめています。






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