◆ 記事の要約
空き家を売却したからといって、
必ず税金がかかるわけではありません。
税金は、
売却価格そのものではなく、
売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた、
利益に対して計算されます。
ただし、
- 取得費が分からない
- 利用できる特例を見落とす
- 解体や売却の順番を間違える
といった理由で、
本来より税負担が大きくなり、
手残りが数十万円から数百万円変わるケースもあります。
この記事では、
- 空き家売却でかかる税金の基本
- 取得費や解体費の考え方
- 3,000万円特別控除の注意点
- 税金を含めた手残りの比較方法
を、分かりやすく解説します。
税金だけで判断すると、
本来得になる選択を見落とすことがあります。
売却・解体・放置を含めた全体の判断軸はこちらで整理しています。
結論|この3つを押さえれば大丈夫

- 税金は「利益」にかかる
- 取得費で結果が大きく変わる
- 特例が使えるかで手残りが変わる
この3つを理解しておけば、
大きく損することは防げます。
税金は売れた金額ではなく「利益」にかかる
空き家を売却したからといって、
売却価格のすべてに税金がかかるわけではありません。
税金は、
売却によって生じた利益に対して計算されます。
計算の基本は、
次のとおりです。
売却価格
−
取得費
−
譲渡費用
−
利用できる特別控除
=
課税される譲渡所得
取得費とは、
土地や建物を購入したときの代金や購入時の諸費用などです。
譲渡費用には、
売却のために支払った、
- 仲介手数料
- 測量費
- 売却を目的とした建物の解体費用
などが含まれることがあります。
例えば、
1,000万円で売却しても、
取得費や譲渡費用などを差し引いた結果、
利益が出なければ譲渡所得税はかかりません。
また、
相続した空き家の、
3,000万円特別控除などを利用できれば、
課税される金額をさらに減らせる可能性があります。
ただし、
解体費用であれば、
必ず譲渡費用として認められるわけではありません。
土地を売るために建物を解体したなど、
売却と直接関係していることが重要です。
つまり、
領収書や契約書は単なる保管書類ではなく、
税金と手残りを守るための大切な証拠になります。
譲渡所得税の基本
空き家売却で一番大きい税金が、
譲渡所得税です。
譲渡費用に含まれるもの
- 解体費用
- 仲介手数料
- 測量費
土地を売るために建物を解体した場合、
その解体費用は、
譲渡費用として差し引けることがあります。
ただし、
売却と直接関係のない解体や、
長期間売却予定がなかった場合などは、
扱いが異なる可能性があります。
実際の申告では、
税務署または税理士へ確認してください。
注意|取得費が分からない場合の5%ルール
※ ここが一番差が出るポイントです。
- 実際の取得費が分からない
- 実際の取得費が譲渡価額の5%未満
これらの場合、
譲渡価額の5%を概算取得費として使えます。
具体例
- 売却価格
⇒ 1,000万円 - 概算取得費
⇒ 50万円
残り950万円が基準になります。
ただし実際の課税対象は、
ここから、
- 仲介手数料
- 測量費
- 売却のための解体費
- 利用できる特別控除
などを差し引いて計算します。
対策|資料を探す価値がある
- 売買契約書
- 領収書
- ローン関係書類
- 当時の通帳
など、
購入価格や取得時の、
費用を裏付ける資料がないか探してみましょう。
資料が不完全な場合でも、
取得費を合理的に計算できる可能性があるため、
税理士や税務署へ相談する価値があります。
また、
土地を売るために建物を解体した場合は、
その解体費用を譲渡費用として差し引ける可能性があります。
ただし、
すべての解体費用が自動的に認められるわけではないため、
売却との関係が分かる契約書や領収書を保管しておきましょう。
所有期間で税率が変わる
一般的な土地・建物の譲渡では、
- 短期譲渡所得(5年以下)
所得税30%+住民税9%+復興特別所得税 - 長期譲渡所得(5年超)
所得税15%+住民税5%+復興特別所得税
実効税率の目安は、
- 短期 ⇒ 約39.63%
- 長期 ⇒ 約20.315%
です。
所有期間は売却した年の1月1日時点で、
5年を超えるかどうかで判定します。
相続では、
被相続人の取得時期を引き継ぎます。
5年を超えるだけで、
税率はほぼ半分になります。
相続の場合は、
被相続人の所有期間を引き継ぐケースが多い点も確認しておきましょう。
※ 親が持っていた期間を、
そのまま自分の所有期間として使うことができます。
3,000万円特別控除(空き家特例)
条件を満たせば、
空き家の譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
控除後の課税譲渡所得が0円になれば、
譲渡所得に対する所得税や住民税も発生しません。
主な要件には、
- 1981年5月31日以前に建築
- 区分所有建物ではない
- 相続直前に被相続人以外が住んでいなかった
- 売却価格が1億円以下
- 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却
- 相続後、事業・賃貸・居住に使っていない
などがあります。
ただし、
すべての相続空き家が対象になるわけではありません。
2024年改正のポイント
2024年1月1日以後の譲渡では、
譲渡した年の翌年2月15日までに買主側で解体または耐震改修を完了すれば、
一定の要件のもとで特例対象になります。
これにより、
解体費を先に用意できない場合でも特例を活用できる可能性があります。
注意点
買主による解体を前提にする場合は、
解体期限や完了証明への協力について、
売買契約書の特約で明確にしておくことが実務上重要です。
相続人の数で控除額が変わる
よくある誤解ですが、
相続人が多いほど控除が増えるわけではありません。
令和6年1月1日以後の譲渡では、
対象となる家屋と敷地を取得した相続人の数が3人以上の場合、
1人当たりの控除上限は、
3,000万円ではなく2,000万円になります。
想定より控除が少なくなるケースがあるため、
事前に共有しておくことが大切です。
よくある失敗|進める順番で特例を失うこともある
- 先に第三者へ貸してしまう
- 相続人同士の話し合いがまとまらず売却期限を過ぎる
- 買主による解体期限を確認しない
- 特例の条件を確認せず売買契約を結ぶ
こうした進め方の違いによって、
本来利用できた特例が使えなくなることがあります。
税金より手残りで判断する
税金だけで判断すると全体を見誤ります。
解体費がかかっても、
- 売却価格が上がる
- 税金が下がる
結果的に、
手残りが増えるケースは多いです。
判断基準は、
最終的にいくら残るかです。
手残りは、
単純な売却価格だけでは判断できません。
売却価格
−
解体費用
−
仲介手数料や測量費などの諸費用
−
税金
=
最終的な手残り
この全体像で比較することが大切です。
▶ 古家付き売却と更地売却はどちらが得?手残りで比較する判断基準
解体は損とは限らない|手残りが増えるケースもある
解体費を譲渡費用として差し引ける場合や、
更地にすることで、
売却価格・売却速度が改善する場合は、
手残りが増えることがあります。
一方で、
解体費が高い現場や、
更地需要が弱い地域では、
古家付き売却の方が有利なケースもあります。
解体するかどうかは、
感覚ではなく、
手残りで比較することが重要です。
相続税を払った人は「取得費加算の特例」も確認
相続税を納めた人が、
相続した空き家や土地を、
一定期間内に売却した場合、
支払った相続税の一部を、
取得費へ加算できることがあります。
取得費が増えれば、
課税される譲渡所得が減るため、
税負担を抑えられる可能性があります。
相続した空き家の3,000万円特別控除と、
相続税の取得費加算の特例は原則として併用できません。
どちらを利用した方が有利かは、
売却前に税理士や税務署へ確認しましょう。
行動ステップ|ここから始める
- 解体費用を出す
- 売却価格の目安を出す
- 税金を概算する
- 手残りで比較する
この流れで進めれば判断が整理されます。
まずは解体費用の目安を知ることで、
税金を含めた全体の判断がしやすくなります。
解体費用は、
業者によって数十万円以上差が出ることがあります。
この差は、
そのまま税引き後の手残りに影響します。
さらに、
税務署や税理士に相談する際は、
- 更地にした場合
- 古家付きの場合
この2パターンのシミュレーションを必ず見せてください。
この比較があることで、
特例の適用や実際の税額がより正確に見えてきます。
★ 最後に一つだけ
税金の話を家族でするときは、
概算だけでなく、
最悪のケースも共有しておくことをおすすめします。
特例が使えなかった場合や、
想定より税金が高くなった場合も含めて話しておくことで、
後からの認識のズレを防ぐことができます。
まとめ
空き家売却の税金は、
売却価格だけで決まるものではありません。
- 取得費
- 譲渡費用
- 所有期間
- 利用できる特例
によって、
最終的な税額は大きく変わります。
特に注意したいのは、
- 取得費が分からないまま申告すること
- 特例の期限を過ぎること
- 解体費が必ず経費になると思い込むこと
です。
税金だけを最小化するのではなく、
売却価格 − 解体費 − 諸費用 − 税金
で、
最終的な手残りを比較しましょう。
解体や売却を決める前に、
- 古家付きで売る場合
- 更地にして売る場合
の2パターンを作り、
税務署または税理士へ確認するのが安全です。
本記事は、
解体現場に25年以上携わってきた筆者の経験に基づき、
一般的な判断材料としてまとめています。
この記事を書いた人
秋ちゃん
解体業に25年以上従事。
1級建設機械施工技士/建築物石綿含有建材調査士。
木造・RC・鉄骨解体、アスベスト除去(レベル1〜3)など、
現場責任者として多数の解体工事に携わる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 空き家を売ったら必ず税金はかかりますか?
A. 必ずではありません。
利益が出た場合に課税される仕組みなので、
- 取得費
- 譲渡費用
- 利用できる特別控除
を差し引いた結果、
課税される利益が出なければ、
譲渡所得に対する税金はかかりません。
また、
3,000万円特別控除が使えれば、
多くのケースで非課税になります。
Q2. 取得費が分からない場合はどうなりますか?
A. 売却価格の5%を概算取得費として計算します。
ただし、
この場合は課税対象が大きくなり、
税金が増える可能性があります。
古い通帳や契約書、
資料などを探すことで取得費を証明できるケースもあるため、
できるだけ確認することをおすすめします。
Q3. 解体すると税金は高くなりますか?
A. 一概に高くなるとは言えません。
土地を売るために建物を解体した場合、
その解体費用は譲渡費用として差し引けることがあります。
さらに、
更地にすることで売却価格が上がるケースもあり、
結果として手残りが増えることも多いです。
Q4. 相続したばかりでも税率は高くなりますか?
A. 相続したばかりだからといって、必ず短期譲渡の税率になるわけではありません。
相続では、原則として、
被相続人の取得時期を引き継いで所有期間を判定します。
ただし、
被相続人の取得時期によっては短期譲渡になる可能性もあるため、
取得年月日を確認しましょう。
Q5. 3,000万円特別控除は誰でも使えますか?
A. 条件を満たす必要があります。
被相続人が住んでいた家であることや、
一定期間内に売却することなど、
いくつかの条件があります。
また、
契約の進め方によっては使えなくなる場合もあるため、
事前の確認が重要です。
Q6. 解体費用を先に払えない場合はどうすればいいですか?
A. 2024年の改正により、選択肢が広がっています。
売却後に、
買主が解体する条件でも特例が使える場合があります。
ただし、
契約書に条件を入れるなどの対応が必要になるため、
事前に不動産会社へ確認してください。
Q7. 税金はどこに相談すればいいですか?
A. 税務署または税理士に相談できます。
その際は、
- 更地にした場合
- 古家付きの場合
この2パターンのシミュレーションを用意して相談するのがおすすめです。
より正確な税額と手残りが分かります。
Q8. まず何から始めればいいですか?
A. 最初にやるべきことはシンプルです。
- 解体費用を把握する
- 売却価格の目安を知る
この2つを押さえれば、
税金も含めた全体の判断ができるようになります。
解体費用・業者選び・追加費用・近隣トラブルなど、
解体工事でよくある疑問をまとめています。
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※ 迷っている方へ
空き家の売却は、
「順番」と「判断基準」
を間違えなければ大きく損することはありません。
ただ、情報がバラバラだと、
どこから手をつければいいか迷ってしまいます。
※ 空き家売却の全体像から順番に知りたい方はこちら







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