古い実家や空き家について調べていると、
「この建物は既存不適格ですね」
と言われることがあります。
聞き慣れない言葉なので、
「それって違法建築なの?」
「そのまま住んでいて大丈夫?」
「売却やリフォームはできる?」
「いっそのこと解体した方がいい?」
と不安になる方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、
既存不適格建築物
=
違法建築物ではありません
ただし、
売却やリフォーム、
建て替えを考えている場合は注意が必要です。
特に解体は、
一度壊してしまうと元には戻せません。
ここでは、
- 既存不適格建築物と違法建築物の違い
- 売却やリフォームをするときの注意点
- 解体する前に確認しておきたいこと
を分かりやすく説明します。
結論
既存不適格建築物とは、
建てられた当時は法律に適合していたものの、
その後の法改正や都市計画の変更などによって、
現在の基準に合わなくなった建物です。
つまり、
現在の基準に合っていない
=
違法建築
というわけではありません。
そのまま存在しているだけで、
直ちに違法になるものでもありません。
ただし、
- 売却する
- 増築する
- 大きなリフォームをする
- 解体して建て替える
といった場合には、
現在の法律や敷地条件が関係してきます。
特に注意したいのが、
「古い家だから、
とりあえず解体してから考えよう」
と先に壊してしまうことです。
解体したあとで、
「今までと同じ大きさの家は建てられません」
と分かることもあります。
既存不適格の可能性がある建物は、
解体する前の確認がとても大切です。
既存不適格建築物とは?
例えば、
40年前に、
その当時の法律に適合した住宅を建てたとします。
ところが、その後、
- 建築基準法が改正された
- 用途地域などの都市計画が変更された
- 建ぺい率や容積率などの規制が変わった
- 防火などに関する基準が変わった
といった理由で、
現在の基準には合わなくなることがあります。
このような建物が、
既存不適格建築物です。
大切なのは、
建てられた当時は適法だった
という点です。
既存不適格建築物と違反建築物は何が違う?
既存不適格建築物と違反建築物は、
同じものではありません。
| 既存不適格建築物 | 違反建築物 | |
|---|---|---|
| 建築した当時 | 原則として基準に適合 | 法令に適合していない部分がある |
| 現在 | 現行基準に合わない部分がある | 違反状態がある |
| 主な原因 | 法改正・規制変更など | 違法な建築・増改築など |
つまり、
古い家
=
違法建築
ではありません。
また、
現在の基準に合っていない
=
違法建築
とも限りません。
まずは、
既存不適格なのか、
違反している部分があるのかを、
分けて考える必要があります。
途中の増改築で違反部分が混ざっていることも
古い住宅で注意したいのが、
建てたあとの増改築です。
例えば、
- サンルームを増やした
- 子ども部屋を増築した
- 下屋を広げた
- 車庫や物置を追加した
といったケースです。
昔の住宅では、
「これくらいなら大丈夫だろう」
と、
必要な手続きや基準を十分確認しないまま、
増改築されていることもあります。
その場合、
元の建物は既存不適格でも、
あとから増築した部分には別の問題がある
ということがあります。
既存不適格として扱える部分には、
増改築などの際に、
一定の緩和措置が設けられています。
一方で、
違反している部分まで、
同じように扱われるわけではありません。
そのため、
「昔から建っている家だから全部大丈夫」
とは考えず、
増改築した履歴も確認しておきましょう。
既存不適格建築物はそのまま住める?
既存不適格というだけで、
すぐに住めなくなるわけではありません。
法律や基準が変わるたびに、
すでに建っているすべての住宅を、
現在の基準に合わせて建て直すわけではないからです。
ただし、
法律上そのまま存在できることと、
現在の安全基準を満たしていることは別です。
築年数が古い住宅では、
- 耐震性
- 建物の劣化
- 雨漏り
- 防火性能
などについて、
必要に応じて確認した方が安心です。
既存不適格建築物はリフォーム・増築できる?
既存不適格だからといって、
リフォームが一切できないわけではありません。
ただし、
工事の内容によっては、
現在の建築基準への適合や、
建築確認が必要になる場合があります。
既存不適格建築物には、
増築や改修を行う際の、
一定の緩和措置もありますが、
どこまで工事できるかは建物ごとに異なります。
特に注意したいのが、
柱や骨組みを残せば、
何をしてもリフォーム扱いになる
と考えてしまうことです。
大規模な工事を考えている場合は、
工事を始める前に、
建築士や自治体の建築担当窓口などへ確認しましょう。
▶ 再建築不可の家はリフォームできる?建て替えずに新築に近づける方法と注意点
既存不適格建築物は売却できる?
既存不適格だからという理由だけで、
売却できないわけではありません。
ただし買主から見れば、
- どの部分が現在の基準に合っていないのか
- 違反している部分はないか
- 建築当時の資料が残っているか
- 増改築の履歴が確認できるか
- 将来建て替えできるか
といった点は重要です。
買主の住宅ローンに影響することもある
売却時には、
買主の住宅ローンにも注意が必要です。
金融機関によって審査基準は異なりますが、
既存不適格であることや、
建築当時・増改築時の状況を、
確認できる資料が不足していることなどによって、
住宅ローンの審査や、
担保評価に影響する場合があります。
住宅ローンを利用できる買主が限られれば、
売却条件や価格に影響する可能性もあります。
そのため、
売却を考えている場合も、
- 確認済証
- 検査済証
- 図面
など、
昔の建築資料が残っていないか、
一度探してみましょう。
既存不適格の住宅では、
単純な査定額だけで不動産会社を選ばず、
建物や土地の条件を理解したうえで、
売却方法を提案してくれる会社を選ぶことも大切です。
既存不適格=再建築不可ではない
既存不適格建築物と、
再建築不可物件は、
同じ意味ではありません。
既存不適格は、
今建っている建物と現在の法律との関係です。
一方、
建て替えができるかどうかは、
接道状況など、
現在の敷地条件や建築計画を確認して判断します。
そのため、
既存不適格だから再建築できないというわけではありません。
ただし逆に、
今そこに家が建っているから、
壊しても同じ家を建てられるとも限りません。
ここが非常に重要です。
▶ 再建築不可物件とは?なぜ建て替えできないのかを分かりやすく解説
解体すると今と同じ建物を建てられないことがある
例えば、
昔は建ぺい率60%で建てられた住宅が、
その後の規制変更によって、
現在は40%になっているとします。
今ある住宅は、
既存不適格として残っていても、
その建物を解体して新しく建てる場合は、
原則として現在の建ぺい率などに合わせて、
計画しなければなりません。
つまり、
今100㎡の家が建っているから、
解体しても、
同じ100㎡の家を建てられるとは限らないのです。
また、
道路への接し方などによっては、
再建築そのものについて、
確認が必要になるケースもあります。
解体工事は、
壊してから元に戻すことができません。
だからこそ、
既存不適格の可能性がある建物は、
解体する前に、
次に何が建てられるのかを確認する。
これは覚えておいてください。
既存不適格かどうかはどう調べる?
まずは、
家に残っている資料を確認してみましょう。
例えば、
- 建築確認済証
- 検査済証
- 当時の図面
- 増改築に関する資料
などです。
あわせて、
- 建築された時期
- 増改築した時期
- 現在の用途地域
- 建ぺい率・容積率
- 道路への接し方
なども確認します。
ただし、
昔の書類がない
=
違反建築
と決めつける必要はありません。
資料が残っていない古い住宅もあります。
自分で判断できない場合は、
自治体の建築担当窓口や建築士などに相談して、
現在の状態を確認しましょう。
よくある勘違い
既存不適格建築物については、
次のような勘違いがあります。
- 既存不適格=違法建築
- 古い家はすべて既存不適格
- 既存不適格=再建築不可
- 昔からある増築部分なら問題ない
- 今建っている家と同じ大きさで建て替えられる
どれも、
必ずそうとは限りません。
大切なのは、
既存不適格かどうかだけではなく、
何の基準に適合していないのか
を確認することです。
施主がやること
既存不適格の可能性がある住宅では、
いきなり売却や解体を進めるのではなく、
- 何が既存不適格なのか確認する
- 建築当時の資料を探す
- 増改築した履歴を確認する
- 売却するなら住宅ローンや担保評価への影響を確認する
- リフォームするなら建築士などへ相談する
- 解体するなら、壊す前に再建築の条件を確認する
この順番で考えると分かりやすくなります。
特に大切なのは、
解体する前に、
再建築できるか確認することです。
まとめ
既存不適格建築物とは、
建てられた当時は適法だったものの、
その後の法改正や規制変更などによって、
現在の基準に合わなくなった建物です。
そのため、
既存不適格建築物
=
違法建築物
ではありません。
ただし、
売却・リフォーム・建て替えを考えている場合は、
- 何の基準に適合していないのか
- 途中の増改築に問題がないか
- 現在の敷地条件で何ができるのか
を確認することが大切です。
そして、
解体を考えている方に、
特に覚えておいてほしいことは、
壊したあとに、
同じ家は建てられなかったと分かっても、
元には戻せません。
既存不適格の建物は、
壊す前に、
次に何が建てられるのかを確認する。
この順番を間違えないようにしましょう。
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