◆ 記事の要約
空き家を売ろうと思ったとき、
多くの方が最初に悩みます。
- 「古い家がついたまま売るべきか」
- 「解体して更地にしてから売るべきか」
なんとなく、
「更地の方が高く売れそう」
そう思うかもしれません。
たしかに、
更地の方が見た目はスッキリしますし、
買い手が見つかりやすいケースもあります。
ですが、
実際の現場ではそれだけで判断すると危険です。
- 解体費
- 固定資産税
- 売却までの時間
- 地中から出てくる追加費用
- 売った後のトラブル
こうした費用やリスクまで含めると、
最終的に手元に残るお金は大きく変わります。
解体の現場でたくさんの施主様を見てきましたが、
「高く売れたのに、思ったよりお金が残らなかった」
というケースは本当に少なくありません。
この記事では、
「どちらが高く売れるか」ではなく、
どちらが多くお金を残せるか
という視点で、わかりやすく比較していきます。
結論|正解は「売値」ではなく「手残り」です

先に結論。
古家付き売却と更地売却、
どちらが得かは物件ごとに違います。
ですが、判断のルールはシンプルです。
- 売値の高さだけで決めない
- 感覚で「とりあえず壊す」をしない
- 最終的にいくら残るかで比較する
ざっくりした傾向としてはこうです。
都市部の物件
土地の需要が強いため、
更地の方が有利になりやすいです。
理由はシンプルで、
買い手が「建物」ではなく「土地」を見ているからです。
地方の物件
古家付きの方が有利になるケースもあります。
土地の需要が弱い地域では、
解体費をかけても売値に上乗せできないことがあるからです。
ただし、建物の状態が悪い場合は、
更地でないと売れないこともあります。
老朽物件
傾き、雨漏り、シロアリ
などがある場合は、更地の方が話が早いケースがあります。
まだ使える物件
DIY需要や中古住宅としての価値があるなら、
古家付きも十分選択肢になります。
最初に知っておきたい本当の話
「高く売れる」と「得する」は別です
ここを間違える方がとても多いです。
例えば、
更地なら1,300万円
古家付きなら1,150万円
この数字だけ見ると、
「更地の方が150万円も高いじゃないか」
と思いますよね。
でも、実際にはこういう費用がかかることがあります。
- 解体費:250万円
- 整地費:30万円
- 固定資産税の増加:15万円
- 地中から出てきた埋設物の追加処分:50万円
- 合計345万円。
すると、
更地売却
1,300万円 − 345万円 = 955万円
古家付き売却
1,150万円
結果として、
古家付きの方が195万円多く残る
ということも普通にあります。
つまり、
「高く売れた=得した」ではない
ということです。
判断基準は「手残り」です
考え方はシンプルです。
売却価格
−
解体費
−
税金
−
追加費用
−
仲介手数料などの諸経費
=
手元に残るお金
この数字で比べてください。
感覚で決めると危険です。
「売値」ではなく「最終的にいくら残るか」で考える全体戦略はこちら。
不動産会社とあなたの利益は同じとは限りません
ここも大事です。
不動産会社はプロです。
でも、
だからといってあなたと同じゴールとは限りません。
例えば、
- 古家付きの方が早く売りやすい
- 更地の方が建売業者に話を持っていきやすい
そんな理由で提案されることもあります。
もちろん、誠実な会社もたくさんあります。
ただ、
「おすすめされたから正解」ではない
ということです。
あなたが守るべきなのは、
自分の手残り
です。
不動産会社選びで手残りが変わる理由は、
こちらで詳しく解説しています。
古家付きで売るメリット・デメリット
メリット① 解体費がかからない
これが最大のメリットです。
解体には数十万円〜数百万円かかります。
しかも、
売れる前に先に払うお金です。
古家付きなら、
その大きな出費を避けられます。
メリット② 固定資産税が上がりにくい
家が建っている土地には、
税金が軽くなる仕組み(住宅用地特例)があります。
そのため、
更地にするより税負担を抑えやすくなります。
この話は後半で詳しく説明します。
メリット③ すぐ売りに出せる
解体には、
- 見積もり
- 契約
- 着工待ち
- 工事期間
これだけ時間がかかります。
古家付きなら、
その時間を飛ばしてすぐ動けます。
デメリット① 売った後のトラブル
古い家だと、
- 雨漏り
- シロアリ
- 傾き
- 配管の不具合
こうした問題が後から出ることがあります。
しかし、
防ぐ方法はあります。
ここで
「じゃあ古家付きは危険だから壊すしかない」
と思うのは早いです。
実務では、
現状のまま引き渡す契約
にする方法があります。
簡単に言うと、
「今ある状態を理解した上で買ってください」
という考え方です。
ただし注意点があります。
何でも免責できるわけではありません。
もし売主が
「雨漏り知ってたけど黙ってた」
となれば、後でトラブルになります。
大事なのは、
隠すことではなく、正しく伝えることです。
古家付き売却で起きやすい失敗パターンは、こちらでまとめています。
デメリット② 値引き交渉されやすい
買主から
「どうせ壊すので安くしてください」
と言われやすいです。
これは現実としてあります。
更地で売るメリット・デメリット
メリット① 買い手が広がる
更地だと、
「すぐ家を建てたい」
という人が動きやすくなります。
建売業者なども検討しやすくなります。
メリット② 売った後の建物トラブルが減る
建物がないので、
- 雨漏り
- 傾き
- シロアリ
こうしたトラブルはなくなります。
これはかなり大きいです。
デメリット① 解体費が高い
当然ですが、最大のネックです。
しかも売れる保証がない状態で払います。
ここは本当に慎重に考えるべきです。
デメリット② 地中の地雷
これ、かなり多いです。
更地になると見た目はきれいになります。
でもその瞬間に、
地中から
- 古い浄化槽
- 井戸
- コンクリートの塊
- 古い基礎
- 配管
こういうものが出ることがあります。
そして業者から言われます。
「追加で80万円かかります」
普通にあります。
つまり、
更地=安全
ではありません。
▶ 地中埋設物で追加費用が発生する理由
→契約前にやるべき調査と交渉術
契約前に必ず確認してください
解体業者にこの3つは聞いてください。
- 地中から何か出た場合の追加費用はいくらか
- どこまでが見積もりに含まれているか
- 写真で報告してくれるか
これだけでもリスクはかなり下がります。
▶ 契約書で見るべき条項
→解体工事で「後悔する人」が見ていないポイント
最大の分かれ道は「1月1日」です
ここは本当に大事です。
知らないまま解体すると、
あとで静かにお金が消えていきます。
固定資産税は「1月1日の状態」で決まります
固定資産税は、
毎年1月1日時点で、その土地がどういう状態か
で決まります。
ここで大事なのは、
登記ではなく、実際に建物があるかどうか
という点です。
たとえば、
12月に家を壊した
↓
登記は1月にした
この場合でも、
1月1日に家がなければ更地扱いになります。
「登記を遅らせれば大丈夫」は通用しません。
更地になると税金が増える理由
家が建っている土地には、
税金が軽くなる仕組みがあります。
ですが、
更地にするとその優遇がなくなります。
その結果、
固定資産税の負担が大きく増えることがあります。
目安としては、
3〜6倍くらい増えるケースもある
と思っておいた方が安全です。
※土地の条件によって異なります
固定資産税の仕組みと「1月1日」の判断基準は、
こちらで詳しく解説しています。
12月解体は慎重に
ここでよくある失敗があります。
12月に解体
↓
すぐ売れると思っていた
↓
売れなかった
↓
1月1日をまたいだ
↓
税金アップ
この流れです。
これは本当によくあります。
例えば、
年間15万円税金が増える土地なら
2年売れなければ30万円
3年なら45万円
じわじわ効いてきます。
工事費みたいに一度に痛くないので、
気づきにくいんです。
でも確実にお金は減っています。
経営目線で考える
この増えた税金を、
「売るための必要コスト」
として受け入れられるかどうか。
ここが判断ポイントです。
- 広告費として払うのか
- 値引きの原資として見るのか
- ただの損失になるのか
なんとなくではなく、
数字で考えるべきです。
▶ 解体後の固定資産税はいくら上がる?
→更地で損しないための判断ポイント
失敗しない判断の5ステップ
ここまで読んで、
「結局どう動けばいいの?」
と思った方へ。
順番を間違えなければ大きく失敗しません。
STEP1 解体費を出す
最初にやるのはこれです。
不動産会社に行く前でもいいくらい大事です。
なぜなら、
壊すコストが分からないと比較できないからです。
STEP2 古家付きで査定してもらう
そのまま売ったらいくらか。
まず確認します。
STEP3 更地ならいくらか聞く
解体した場合の売却価格も確認します。
STEP4 手残りで比較する
ここで初めて比較です。
見るのは売値じゃありません。
見るのは
最後に残る金額(手残り)
です。
比較に入れるもの
- 解体費
- 整地費
- 税金
- 仲介手数料
- 地中から出るかもしれない予備費
▶ 解体・売却・放置|結局どれが一番得?
→ 「手残り」最大化の戦略
STEP5 税金の特例まで確認する
ここで終わりじゃありません。
売却では税金のルールも関係します。
使える制度があるかどうかで、
手残りが変わることがあります。
ここは
- 不動産会社
- 税理士
両方に確認すると安心です。
▶ 空き家売却の流れ5ステップ
→ 手残りを100万円変える正しい順番
まとめ
古家付きが得か、更地が得かは、
物件ごとに違います。
でも、判断基準は一つです。
どちらが高く売れるかではなく、どちらが多く残るか
ここです。
長年この業界にいますが、
「なんとなく更地の方が良さそう」で壊してしまい、
後から
「古家付きの方が100万円以上残った…」
というケースを何度も見てきました。
逆に、
状態の悪い建物を無理に残して、
売れずに時間だけ過ぎるケースもあります。
つまり、
感覚で決めるのが一番危険です。
何から始めるべきか
「古家付きで売るべきか」
「更地にするべきか」
この答えを出すには、
解体したらいくらかかるか
を知らないと始まりません。
比較判断に必要なのは「感覚」ではなく数字です。
まずは解体費の目安を確認してみてください。
本記事は、
解体現場に25年以上携わってきた経験をもとに、
一般的な判断材料としてまとめています。
この記事を書いた人
秋ちゃん
解体業に25年以上従事。
1級建設機械施工技士/建築物石綿含有建材調査士。
木造・RC・鉄骨解体、アスベスト除去(レベル1〜3)など、
現場責任者として多数の解体工事に携わる。
よくある質問
Q1. 古家付きの方が絶対お得ですか?
A. いいえ。
解体費が高い地域では有利なこともありますが、建物の状態が悪いと売れにくくなります。
物件次第です。
Q2. 更地にした方が早く売れますか?
A. ケースによります。
都市部では早いことが多いですが、地方ではそうとも限りません。
Q3. 古い家をそのまま売るのは危険ですか?
A. 正しく契約すればリスクは減らせます。
ただし、不具合を隠すのはNGです。
Q4. 地中から何か出ることって本当にあるんですか?
A. あります。
珍しい話ではありません。
昔の井戸や浄化槽は本当によくあります。
Q5. 12月に壊すのは絶対ダメですか?
A. 絶対ではありません。
すぐ売れる見込みがあるなら成立することもあります。
ただ、1月1日をまたぐリスクは必ず考えてください。
Q6. 結局、一番最初にやることは?
A. 解体費を知ることです。
ここが分からないと比較になりません。

空き家の売却は、
「順番」と「判断基準」を間違えなければ大きく損することはありません。
ただ、情報がバラバラだと、
どこから手をつければいいか迷ってしまいます。
※ 空き家売却の全体像から順番に知りたい方はこちら






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