古家付き売却 vs 更地売却|結局どっちが得?プロが「手残り」で徹底比較

空き家売却・相続
この記事は約10分で読めます。

◆ 記事の要約

古家付きで売るか、
建物を解体して更地で売るか。

空き家や古い実家を売却するとき、
多くの方が迷うポイントです。

更地の方が高く売れても、

  • 解体費用
  • 地中埋設物の追加費用
  • 固定資産税の変化
  • 仲介手数料などの諸費用

を差し引くと、
古家付きで売った方が多くお金が残ることもあります。

反対に、
建物の状態が悪く、
古家付きでは買い手が見つかりにくい場合は、
解体して更地にした方が売却しやすくなるケースもあります。

この記事では、

  • 古家付き売却と更地売却のメリット・デメリット
  • 固定資産税や解体費を含めた比較方法
  • 最終的な手残りを増やすための判断手順

を、分かりやすく解説します。


結論|正解は売値ではなく手残り

先に結論。

古家付き売却と更地売却、
どちらが得かは物件ごとに違います。

ですが、
判断のルールはシンプルです。

  • 売値の高さだけで決めない
  • 感覚で「とりあえず壊す」をしない
  • 最終的にいくら残るかで比較する

ざっくりした傾向としてはこうです。

都市部や土地需要が強い地域

建物より土地を目的に購入する人が多い地域では、
更地にすることで買い手の検討が進みやすくなる場合があります。

ただし、

再建築の条件
土地の形状
解体費

によっては、
必ずしも更地売却が有利とは限りません。

地方や土地需要が弱い地域

解体費をかけても、
その金額を売却価格へ十分に上乗せできないことがあります。

一方で、
建物の傷みが激しい場合は、
古家付きのままでは買い手が見つからず、
更地にしなければ売却が進まないケースもあります。

地域だけで決めず、
古家付きと更地の両方で査定を取ることが大切です。

老朽物件

  • 傾き
  • 雨漏り
  • シロアリ

などがある場合は、
更地の方が話が早いケースがあります。

まだ使える物件

DIY需要や中古住宅としての価値があるなら、
古家付きも十分選択肢になります。


最初に知っておきたい本当の話

高く売れると得するは別

ここを間違える方がとても多いです。

例えば、

更地なら1,300万円
古家付きなら1,150万円

この数字だけ見ると、

「更地の方が150万円も高いじゃないか」

と思いますよね。

でも、
実際にはこういう費用がかかることがあります。

  • 解体費
    → 250万円
  • 追加の仕上げ整地費
    → 30万円
  • 固定資産税の増加
    → 15万円
  • 地中から出てきた埋設物の追加処分
    → 50万円
  • 合計345万円。

すると、

更地売却
1,300万円 − 345万円 = 955万円

古家付き売却
1,150万円

結果として、

古家付きの方が、
195万円多く残るということも普通にあります。

つまり、

高く売れた=得したではない

ということです。

判断基準は手残り

考え方はシンプルです。

売却価格

解体費

税金

追加費用

仲介手数料などの諸経費
=
手元に残るお金

この数字で比べてください。

感覚で決めると危険です。

売値ではなく、
最終的にいくら残るかで考える全体戦略はこちら。

解体 vs 売却 vs 放置|結局どれが一番得?

不動産会社とあなたの利益は同じとは限らない

ここも大事です。

不動産会社はプロです。

でも、
だからといってあなたと同じゴールとは限りません。

例えば、

  • 古家付きの方が早く売りやすい
  • 更地の方が建売業者に話を持っていきやすい

そんな理由で提案されることもあります。

もちろん、
誠実な会社もたくさんあります。

ただ、
おすすめされたから正解ではないということです。

あなたが守るべきなのは、
自分の手残りです。

不動産会社選びで手残りが変わる理由は、
こちらで詳しく解説しています。

空き家売却で損をしない不動産会社の選び方


古家付きで売るメリット・デメリット

メリット

① 解体費がかからない

これが最大のメリットです。

解体には数十万円〜数百万円かかります。

しかも、
売れる前に先に払うお金です。

古家付きなら、
その大きな出費を避けられます。

② 固定資産税が上がりにくい

家が建っている土地には、
税金が軽くなる仕組み(住宅用地特例)があります。

そのため、
更地にするより税負担を抑えやすくなります。

この話は後半で詳しく説明します。

③ すぐ売りに出せる

解体には、

  1. 見積もり
  2. 契約
  3. 着工待ち
  4. 工事期間

これだけ時間がかかります。

古家付きなら、
その時間を飛ばしてすぐ動けます。


デメリット

① 売った後のトラブル

古い家だと、

  • 雨漏り
  • シロアリ
  • 傾き
  • 配管の不具合

こうした問題が後から出ることがあります。

ここで

「じゃあ古家付きは危険だから壊すしかない」

と思うのは早いです。

実務では、
建物の状態を買主へ説明したうえで、

  • 現状有姿で引き渡すこと
  • 売主が負う契約不適合責任の範囲
  • 設備や建物の不具合

を売買契約書や告知書に明記する方法があります。

ただし、
現状のまま引き渡すと書けば、
すべての責任を免れるわけではありません。

売主が、
雨漏りやシロアリ被害を知っていたにもかかわらず、
説明しなかった場合は、
売却後のトラブルにつながる可能性があります。

大切なのは、
免責という言葉に頼ることではなく、
把握している不具合を契約前に正しく伝えることです。

古家付き売却で起きやすい失敗パターンは、
こちらでまとめています。

空き家売却でよくある失敗7選

② 値引き交渉されやすい

買主から、

「どうせ壊すので安くしてください」

と言われやすいです。

これは現実としてあります。

空き家売却でやってはいけないNG行動7選

空き家売却で損をしない不動産会社の選び方


更地で売るメリット・デメリット

メリット

① 買い手が広がる

更地だと、

すぐ家を建てたいという人が、
動きやすくなります。

建売業者なども検討しやすくなります。

② 売った後の建物トラブルが減る

建物がないので、

  • 雨漏り
  • 傾き
  • シロアリ

こうしたトラブルはなくなります。

これはかなり大きいです。


デメリット

① 解体費が高い

当然ですが、
最大のネックです。

しかも、
売れる保証がない状態で払うことになります。

ここは本当に慎重に考えるべきです。

② 地中埋設物による追加費用

これ、
かなり多いです。

更地になると見た目はきれいになります。

でもその瞬間に、

地中から、

  • 古い浄化槽
  • 井戸
  • コンクリートの塊
  • 古い基礎
  • 配管

などが見つかると、
別途撤去費用が発生することがあります。

金額は埋設物の種類、量、処分方法によって変わるため、
一律には判断できません。

重要なのは、
追加費用が発生する可能性をゼロにすることではなく、

  • 発見時の写真報告
  • 撤去前の見積提示
  • 施主の承認を得てから作業する

を契約前に決めておくことです。

地中埋設物で追加費用が発生する理由
→契約前にやるべき調査と交渉術

解体工事で追加費用が出やすい現場の共通点

契約前に必ず確認

解体業者に、
この3つは聞いてください。

  1. 地中から何か出た場合の追加費用はいくらか
  2. どこまでが見積もりに含まれているか
  3. 写真で報告してくれるか

これだけでもリスクはかなり下がります。

契約書で見るべき条項
→解体工事で、
後悔する人が見ていないポイント


最大の分かれ道は1月1日

ここは本当に大事です。

知らないまま解体すると、
あとで静かにお金が消えていきます。

固定資産税は1月1日の状態で決まる

固定資産税は、
毎年1月1日時点の
土地と建物の状態を基準に課税されます。

例えば、
12月中に建物を解体し、
翌年1月1日時点で住宅が存在しなければ、
原則として翌年度は住宅用地特例を受けられなくなります。

建物滅失登記を年明けまで遅らせたとしても、
1月1日時点で実際に建物がなければ、
住宅が残っていることにはなりません。

ただし、
建て替えの場合は、
一定の要件を満たすことで住宅用地として扱われる場合があります。

判断や申告方法は自治体によって確認が必要です。

解体後の固定資産税はいくら上がる?

更地になると税金が増える理由

住宅が建っている土地には、
住宅用地特例があります。

住宅1戸につき200㎡以下の部分は、
固定資産税の課税標準が評価額の6分の1に軽減されます。

建物を解体して住宅用地ではなくなると、
この特例が外れるため、
土地部分の固定資産税が大きく増える可能性があります。

ただし、
実際の納税額が必ず6倍になるわけではありません。

建物分の固定資産税がなくなることや、

  • 土地の評価額
  • 都市計画税
  • 負担調整措置

などによって、
増える金額は物件ごとに異なります。

正確な増加額は、
市区町村の資産税課へ確認するのが確実です。

固定資産税の仕組みと、
1月1日の判断基準は、
こちらで詳しく解説しています。

解体後の固定資産税はいくら上がる?

12月解体は慎重に

ここでよくある失敗があります。

12月に解体
  
すぐ売れると思っていた
  
売れなかった
  ↓

1月1日をまたいだ
  ↓

税金アップ

この流れです。

これは本当によくあります。

例えば、

年間15万円税金が増える土地なら、

  • 2年売れなければ30万円
  • 3年なら45万円

じわじわ効いてきます。

工事費みたいに一度に痛くないので、
気づきにくいんです。

でも確実にお金は減っています。

経営目線で考える

この増えた税金を、
売るための必要コストとして受け入れられるかどうか。

ここが判断ポイントです。

  • 広告費として払うのか
  • 値引きの原資として見るのか
  • ただの損失になるのか

なんとなくではなく、
数字で考えるべきです。

解体後の固定資産税はいくら上がる?
→更地で損しないための判断ポイント


失敗しない判断の5ステップ

ここまで読んで、

「結局どう動けばいいの?」

と思った方へ。

順番を間違えなければ大きく失敗しません。

STEP1|解体費を出す

最初にやるのはこれです。

不動産会社に行く前でもいいくらい大事です。

なぜなら、
壊すコストが分からないと比較できないからです。

解体費無料シミュレーション(解体の窓口)

STEP2|古家付きで査定してもらう

そのまま売ったらいくらか。

まず確認します。

空き家売却で損をしない不動産会社の選び方

STEP3|更地ならいくらか聞く

解体した場合の売却価格も確認します。

STEP4|手残りで比較する

ここで初めて比較です。

見るのは売値じゃありません。

見るのは、
最後に残る金額(手残り)です。

比較に入れるもの

  • 解体費
  • 整地費
  • 税金
  • 仲介手数料
  • 地中から出るかもしれない予備費

解体・売却・放置|結局どれが一番得?
→ 「手残り」最大化の戦略

STEP5|税金の特例まで確認する

ここで終わりじゃありません。

売却では税金のルールも関係します。

使える制度があるかどうかで、
手残りが変わることがあります。

ここは

  • 不動産会社
  • 税理士

両方に確認すると安心です。

3,000万円特別控除とは?誰でも使える?


相続した実家を売却する場合は、
解体の順番によって、
被相続人の居住用財産に係る、
3,000万円特別控除の適用判断に影響することがあります。

2024年1月1日以後の譲渡では、
一定の要件を満たせば、
古家付きで売却した後に買主が期限内に解体する方法でも、
特例を利用できる可能性があります。

税金が関係する物件では、
解体契約を結ぶ前に税務署または税理士へ確認してください。

実家を更地にして売ると3,000万円特別控除が消える?税金で損しない解体タイミング

空き家売却の税金|手残りを最大化する考え方


まとめ

古家付きが得か、更地が得かは、
物件ごとに違います。

でも、判断基準は一つです。

どちらが高く売れるかではなく、
どちらが多く残るか

ここです。

長年この業界にいますが、
なんとなく更地の方が良さそうで壊してしまい、

後から
「古家付きの方が100万円以上残った…」
というケースを何度も見てきました。

逆に、
状態の悪い建物を無理に残して、
売れずに時間だけ過ぎるケースもあります。

つまり、

感覚で決めるのが一番危険です。

空き家売却・相続|損しないための判断ガイド


何から始めるべきか

  • 古家付きで売るべきか
  • 更地にするべきか

この答えを出すには、

解体したらいくらかかるかを、
知らないと始まりません。

比較判断に必要なのは、
感覚ではなく数字です。

まずは解体費の目安を確認してみてください。

解体費用を無料で比較して手残りを確認する


本記事は、
解体現場に25年以上携わってきた経験をもとに、
一般的な判断材料としてまとめています。

 この記事を書いた人

秋ちゃん
解体業に25年以上従事。
1級建設機械施工技士/建築物石綿含有建材調査士。
木造・RC・鉄骨解体、アスベスト除去(レベル1〜3)など、
現場責任者として多数の解体工事に携わる。

 ▶プロフィールはこちら


よくある質問

Q1. 古家付きの方が絶対お得ですか?

A. いいえ。

解体費が高い地域では有利なこともありますが、
建物の状態が悪いと売れにくくなります。

物件次第です。


Q2. 更地にした方が早く売れますか?

A. ケースによります。

都市部では早いことが多いですが、
地方ではそうとも限りません。


Q3. 古い家をそのまま売るのは危険ですか?

A. 正しく契約すればリスクは減らせます。

ただし、不具合を隠すのはNGです。


Q4. 地中から何か出ることって本当にあるんですか?

A. あります。

珍しい話ではありません。

昔の井戸や浄化槽は本当によくあります。


Q5. 12月に壊すのは絶対ダメですか?

A. 絶対ではありません。

すぐ売れる見込みがあるなら成立することもあります。

ただ、
1月1日をまたぐリスクは必ず考えてください。


Q6. 結局、一番最初にやることは?

A. 解体費を知ることです。

ここが分からないと比較になりません。

解体費用を無料でシミュレーションする(解体の窓口)


解体費用・業者選び・追加費用・近隣トラブルなど、
解体工事でよくある疑問をまとめています。

解体に関するよくある質問一覧はこちら


スポンサーリンク


空き家の売却は、
「順番」と「判断基準」を間違えなければ大きく損することはありません。
ただ、情報がバラバラだと、
どこから手をつければいいか迷ってしまいます。

※ 空き家売却の全体像から順番に知りたい方はこちら


コメント